青空付箋 エフストリーム

元ヤンの気分

旦那様に連れられて、近所にある激安スーパーに久しぶりに行ってみました。
安かろう悪かろうな部分もあるからわたし一人で行く時は別のスーパーなんだけど、
しっかり者の旦那様にとっては、この安さは無視できないようで、
そういうわたしも、かつて貧乏時代には御用達だったところでもあります。

離婚して母子家庭になったらなぜか少し裕福になったので ” 常連 ” から足を洗って、
気がついたらもう、かれこれ3年半くらいですね。

その激安スーパーは、いかにも下町のそれといった感じで、
エプロン着けたままのおばちゃんや、ちょっと酒臭いおじちゃんたちで相変わらず賑わってました。
店長かどうかは知らないけど、お店の看板みたいなおじちゃんの店員さんがいて
あちこちの主婦に「今日はいいの入ってるよ」とか話しかけてるのも当時のままでした。

わたしも下町の主婦らしくどこへ行っても店員さんとはわりと喋るほうなので、
当時もよくそうやって声をかけられていまして。

なんか懐かしいわん。

とか何とか思いながら買い物を進めていたんですけど、
たまたま見当たらなかった野菜があったので、「ちょっと訊いてくるね」と断って
何気なくそのおじちゃんのところに尋ねに行ってみました。そしたら。

「すいませーん。」

「ああ、お姉ちゃん久しぶりだねぇ。しばらく来てなかったでしょ。何年?2、3年?」

思わず一瞬、絶句。

「……覚えてるんですか?」

「ああ覚えてるよ。保険(の営業)やってたろ?ちっこいの連れて。」
「ダンナってあんなだったっけ?」
「へぇ、新しいダンナか。どうりでずいぶん色男だと思った。前のはどうしたの?」
「そうか、甲斐性なしじゃあ仕方ないな。ダンナは真面目に稼ぐやつが一番だ」

なんかねぇ。

覚えていてくれたことは単純に嬉しいし、久しぶりの再会を懐かしむ気持ちもなくはない…
っていうか、むしろ多分にあるんですけど。

ただ、当時は決してわたしにとっていい時代でもなくて。

激安スーパーに代表されるような赤茶けた下町の空気と自分の貧しさがリンクしたまま、
混沌とした思い出になって、もやもやと胸に残っていたわけです。
それが不意にいきなり目の前に現れたもんだから、ちょっと面くらってしまいました。

懐かしい感覚と一緒に、なんとなくきまりが悪いような、いたたまれない気分になって、
「じゃあまた」なんてそそくさとあいさつをしながら後ずさり。

大急ぎで旦那様を探したら、ちゃんと近くで待っててくれて、ものすごくホッとしました。

こういうの、なんていうんだろうね。

たぶん、すっかり更生してまっとうになった元ヤンが、昔の悪い仲間だとか
世話になった担任とかに会った時の気分って、きっとこんなんじゃないかなぁと。

懐かしいんだけど、ちょっとアチャー(ノ∀`) な気分。
わたし自身は、決して元ヤンではありませんけれども。ええもちろんです。

それにしても、まさか大人になってもこんな思いするとは思ってなかったさー。
あはははは。

…はぁ。

どっ、と疲れた。

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